県立広島叡智学園

広島県は、県立広島叡智学園の開講を来年予定している。開講まであと一年余りだが、まだその存在自体が謎である。初年度の募集人員は40人。入試は11月に第一次審査が行われる。注目の入試内容に英語が入っていないので、英語が得意だから合格が期待できるというわけではなさそう。公立なので、経済的なコストがかからず、国際バカロレアに向けたカリキュラム編成である点も注目されているようだ。大崎上島に全寮制のエリート養成校ができる!という事実は賛否両論あった。公立で「エリート」だけを育成する学校が必要なのかとか、大崎上島という場所ありきの建設予定になってないかとか。高校生になると、60人のうち20人が留学生ということだが、語学力の高い教員の確保ができるのか?といった疑問も聞こえてくる。保護者の関心は高いものの、大学進学のための学力がつくかどうか不安の声も上がっているようだ。

 

同時期開講する大阪市立水都国際中学校・高等学校は、全国初の「公設民営型」中高一貫校らしい。設置者は大阪市で、管理や運営は大阪YMCAが担うということだ。初年度の募集定員が80名ということだから、広島叡智学園よりは少し大きな規模ということになる。YMCAが管理や運営を担うというところになぜか安心感もある。指導内容の面で公立学校にはできないことを迅速にやってくれそうなイメージがある。

 

こういった学校が登場する背景には、国際バカロレア資格を活用した入試を実施している国内の大学が25校に増えてきたことやディプロマプログラム(DP)の規制が緩和されたことも関係している。現在はまだDP認定校の1条校が12校程度らしいのだが(しかもほとんど私立校)、これからこのような公立校は急速に増えるかもしれない。学校も多様になってくる時代だ。

 

気になるのはやはり入学資格試験だ。私立中学校と併願する家庭が圧倒的に多いのではないだろうか。結局、通塾して試験対策ができる子供たちが合格を勝ち取るなら、それなりに経済的に恵まれた環境の子供達だけの進路先となってしまいかねない。来年4月の開校からどのような学校になっていくのか、注目しておきたい。