今朝、市内電車の中で。

 

電車に揺られてうつらうつらしていると、急にバタンと大きな音がした。

 

何事かと目を開けてみると、車両の中が騒然としている。男の人が倒れたのだ。「すみませーん」と大声で運転手さんに声を掛ける女性。ちょうど電停で止まっていたので、運転手さんが駆けつけて倒れた男性に言葉をかけている。

 

「大丈夫」という声が近くに座っている自分にも聞こえた。

 

 

倒れた男性のすぐそばの席を譲る人。体を支える人。行く先を尋ねる人。      自分を含めた周囲の人達が一様に不安そうだ。

 

「大丈夫」という声を直接男性から聞いた運転手さんが戻ってすぐ、また女性の声。「すみませーん。ダメみたいです。」

 

それを聞いた乗客の表情にも緊張が走る。                          譲られた座席にすわったまま、男性は意識が朦朧としており、声かけに返事がない。そばの女性が「救急車を呼んでください。顔色が悪いし、汗もすごくかいています」

 

その声にすぐに反応して、救急車の要請をしたようだ。ほどなくして救急車が到着し、担架で運ばれていった。意識は相変わらずない。何がどうなっているか私の位置からは詳細がわからなかったが、特に命に別状があるような感じではなかったらしい。「貧血かもしれない」という声が聞こえた。

 

倒れた男性は大学生くらい。

 

広電の職員さんたちは慣れた様子でテキパキと動いていて、本当に頼もしかった。乗客の人達も倒れた男性の様子を的確にとらえていて、とっさの判断力に頭が下がる。

 

倒れた男性は大変だっただろうが、機転のきいた対応がなされた環境だったことは不幸中の幸いだったのではないだろうか。