広島県子供の生活に関する実態調査に思う 

この調査は、子供の生活実態を家庭環境全体で把握するべきだという観点から始まっている。①所得②家計の逼迫③子供の体験や所有物の欠如 という3つの要素に基づいた調査だ。少しわかりにくい②と③について実態調査の説明を引用してみようと思う。

 

②の家計の逼迫                                                                7項目のうち、経済的な理由で公共料金や家賃の滞納、食料・衣類を買えなかった経験など一つ以上該当するものとしている。 

 

1 電話料金
2 電気料金
3 ガス料金
4 水道料金
5 家賃
6 家族が必要とする食料が買えなかった
7 家族が必要とする衣類が買えなかった

 

③の子供の体験や所有物の欠如  については、子供の体験や所有物などの15 項目のうち経済的な理由で欠如している項目が3つ以上該当するものとしている。

 

1 海水浴に行く
2 博物館・科学館・美術館などに行く
3 キャンプやバーベキューに行く
4 スポーツ観戦や劇場に行く
5 遊園地やテーマパークに行く
6 毎月お小遣いを渡す
7 毎年新しい洋服・靴を買う
8 習い事(音楽,スポーツ,習字など)に通わせる
9 学習塾に通わせる(又は家庭教師に来てもらう)
10 お誕生日のお祝いをする
11 1年に1回くらい家族旅行に行く
12 クリスマスのプレゼントや正月のお年玉をあげる
13 子供の年齢に合った本
14 子供用のスポーツ用品・おもちゃ
15 子供が自宅で宿題(勉強)をすることができる場所

 

正直、我が家に該当するものが②③についてはある。経済的な理由をどこまで反映させるかで回答は変わってくるのではないかと思う。アンケートに見栄は関係ないが、考え方や捉え方でどこの家庭にだって該当する項目があると感じてしまう。

 

学校で使用する制服や柔道着、体育ジャージ等のすべてを新品で揃える家庭ばかりではないはずだ。さらに言えば成長期の子供のサイズアウトに合わせた購入が間に合わない家庭は少なくはない。②の7の項目「家族が必要とする衣類が買えなかった」はいろいろ考えさせられてしまう。

 

③の子供の体験や所有物の欠如  の項目に至っては、その内容に目が奪われてしまった。「遊園地やテーマパークに行くこと」や「1年に1回の家族旅行」が判断材料として使われていることに注目だ。「経済的」と限定的な問われ方をしているが、「子供の環境」としての判断基準になっていることはとても重要なことだ。

 

経済的な理由と併せて考えたいのは、「ゆとり」の欠如だ。共働き家庭の場合や自営業の家庭だった場合、家族と一緒の時間を過ごすことが難しい場合も多い。そうすると、家族の「つながり」が希薄化したり、気持ちのゆとりが奪われたりする。

 

“子供を育てる家庭環境は厳しい”と社会全体で気付いていかなければ、子育てをすることは苦行だけになってしまう。進んで苦しみたい人はいないから、少子化に歯止めがかからない。

 

国がどんなに良い教育振興を計画しようとも、家庭環境に子供の育成を委ねていれば、どうしても問題は生じやすい。逆を言えば、教育に対して地域社会全体が関われば、            解決することも多いということだ。

 

これからの仕組み作りが重要になる。