授業内容がわからない

◇2021/9/13朝日新聞デジタルの記事に

 

小学校・中学校・高等学校の児童生徒にアンケートをとった結果が出ていた。世間の関心は高く、朝7時の配信で9時にはコメントがびっしり。

 

最も驚いたのが「授業の進み方が早すぎて、内容がわからない」の質問に「よくある」「時々ある」と答えた高校生が48.1%だったことだ。どうしても高校での授業は大半が入試や就職を意識した授業展開になる。定期テストの範囲まで進むことを余儀なくされるので、機械的な作業と化すことも多い。今まではそれが一般的な学校風景だった。児童生徒一人一人に個別最適な学びが求められる時代になっても、急には変われない。基本的には一斉授業スタイルだからだ。

 

ところが、コロナ禍の学校に不安を抱く人が児童生徒や保護者を中心に増えてきた。今回の記事にしたって、わざわざ8月の学会の内容を取材した背景には、そのような事情が関連している。

※アンケートは13都道府県の1396人の児童生徒からの回答で、日本大学や金沢大学の先生のグループが教育学会で発表したもの。

 

◇高校生自身は意外にも情報不足だ。

高校生はスマホを使って情報を集めるのが得意だと思っている大人も多い。もちろん、そういう一面はまちがいなく長けているところはある。しかし「自分が何に困っているのか、何に悩んでいるのか」「今、どうすればよいのか」といった自分の気持ちや現状の問題を整理できる力は弱い。困り度が高くなればなるほど迷路の中に入り込む。では大人はどうしてやるのがよいかというと、ひとつひとつ“謎”になっている部分を紐解いてやることがとても重要だ。

○現状がどうなっているのかを整理

・部活等の活動内容(忙しい日の特定)

・一番ツライ曜日はいつか。

・睡眠時間は確保できているか。

・読書やゲーム等の趣味の時間はいつどれくらいか。

・学校の授業の苦手教科は何か。

・比較的ラクに感じる教科は何か。

・学校の先生の中で相性の良い先生はだれか(逆もアリ)。

・苦手な教科の教材(教科書や問題集)を出してみて、どこらあたりからわからないのかをはっきりさせる(複数教科あるなら一教科から順に。一度に全部やるとイヤになる。)。など

 

簡単に書いているが、これだけを大人と共有しようと思うとかなりの対話時間が必要になる。向かい合う大人の覚悟のようなものも必要になってくる。「大人」とは、保護者でもじいじやばあばでもいい。塾の先生にお願いしてもいい。家庭教師という手もある。学習の状況を他者と共有することで、子供自身の課題を整理することにつなげるのだ。

 

あとは意識が継続するよう、定期的に声をかけることが大切。(家族の場合)喧嘩にならないよう、「あれからわからないことが増えてないか?」のように工夫したり、対話する時間や曜日を決めたりするのもいい。

 

○先生を味方に

うまくいったら、学習方法を具体的に考えられるようになる。学校の先生に相談してみるのもいい。学校の授業が分からないということは、学校離れに直結してしまう。相性の良い先生を見つけて(小テスト範囲の確認でもなんでもいいので)自分から話しかけていく機会を作ると、徐々に気持ちが学校に向かうようになる。地味で気の長い作戦だが数か月単位で見ると教員にとっても生徒にとってもメリットしかない。教員にとって日々変わっていく生徒一人ひとりの状況を把握するのは難しい。生徒から話しかけてくれば実態が掴みやすくなる。一方で生徒にとっては、いざとなったときに相談できる教員が学校にいることは心強さになる。

 

コロナ禍だからこそ学校や塾も手探りだ。子供一人に現状打破を任せるのではなく、一緒に乗り越えようとする姿勢が子供の未来を作る。