教員採用試験を受験する学生に必要なもの

教員採用試験を受験するのは学生だけではない。非常勤講師や臨時的任用教員として学校で働いている教員も受験する。広島県広島市は59歳まで受験できるのだから、受験年齢の制限は撤廃されていると考えた方がいいだろう。

 

働いている人から見れば、「学生は勉強する時間もある上に、体力がある。羨ましい」と思うかもしれない。ところが、学生は大学の授業があったり、レポート提出・ボランテイア活動(アルバイトなども)があったりでかなり忙しい。

 

一方、現在は企業への就職が好調なことから、大学生は3年生の3月から一斉に就職活動を始める。自分の写真を撮ったり、スーツを準備したり、企業研究をしたりするのはその前からなので、教職に就こうと考えている学生よりも早く具体的な行動を始める。

 

教職に就こうとする学生が、企業に就職しようとする学生と同じ授業を受講しようものなら、周囲の就活生の慌ただしさを無視して教員採用試験の勉強に専念するのは難しい。むしろ、一般就職の話を聞くうちに、このままではまずいという脅迫観念が生まれる。他の学生たちが内定を取る中、夏の採用試験に失敗すれば就職浪人だ。「こんなに、たくさん魅力的な企業への就職があるのに?」→「このままでいいわけがない!」と自分を責めることになる。常にだれかが隣で「あなたは大丈夫。自分の信念を貫いて、教員採用試験や教育実習の準備に集中しなさい」と言ってやる必要がある。

 

教員になるということは、家族の応援や長期間の計画的な行動が欠かせない。他人とは違った学生生活になるかもしれないし、大学で求められるものとは別の勉強が必要になるかもしれない。ただ、採用試験合格後に待っている教え子たちを想像しながら、ひたすら理想を追いかけるしかないのだ。

 

教員の国家資格化が検討されているらしいが、教員を目指す学生たちが納得のいく免許・採用試験になれば良いと思う。教員採用試験受験者が悔いのない夏を迎えられることを願っている。