広島市立五日市観音中学校

学校は安全でなければならない。学校生活は平和でなければならない。愛情に満ちた空間で、児童生徒がさまざまなことにチャレンジできる場所でなければならない。それは理想にすぎないのだろうか。

 

以前、広島市佐伯区に住んでいたことがあった。五日市観音中学校の校区内だったので、なんだか身近な学校のような気持ちがずっとあった。だから、昨年の夏、3年生の女子生徒が校舎から飛び降りて亡くなったという話を耳にしたときは言葉を失ってしまった。その女子生徒の死の背景に、学校生活があろうとは…。ご家族はさぞ無念だろう。本当にやりきれない気持ちになる。

 

いじめを受けたとする内容のメモが残されていたことから、調査が行われ、今日結果が公表された。小学生のときから悪口を言われるなどのいじめがあり、中学生になっても年間を通じていじめられていたとされる。

 

学校はもはや安全ではないのではないか。

学校という狭い世界で生きる子供達は、突破口が見つからないまま悩み続けるしかないのではないか。そう思えてくる。

 

いじめが原因で自ら命を絶つ子供をなくすために、もしかしたら危険予測能力を大人が常に持つ必要があるのかもしれない。学校で働く教員も、勇気を持って「学校=安全」という認識を覆すべきではないか。

 

どんな時代でも公教育の持つ威力は大きい。大多数の子供はそのシステムの中で平気かもしれない。でも、一人の子供にとってどうしようもなく辛い存在ならば、「公」ではなく「私」を選択すべきだと思うのはまちがっているだろうか。

 

社会全体が学校が教員が、柔軟な成長を柔軟に支える存在になれば、救われる命があるかもしれない。